登戸きむら皮膚科クリニック

診療案内

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は「増悪・寛解を繰り返す、そう痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」と定義されています。
また、アトピー素因とは「(1)家族歴・既往歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちのいずれか、あるいは複数の疾患)、または(2)IgE抗体を産生し易い素因」と説明されています。
症状は左右対称にかゆみを伴う湿疹がみられたり、皮膚の乾燥を伴います。
肘や膝の内側などの関節部、顔、首などによく現れます。

アトピー性皮膚炎の治療

治療はステロイド外用薬を中心とした外用療法が基本ですが、最近ではJAK阻害外用薬(コレクチムⓇ軟膏)、ホスホジエステラーゼ4(PDE4) 阻害外用薬(モイゼルトⓇ軟膏)、芳香族炭化水素受容体(AhR)調整外用薬(ブイタマーⓇクリーム、2024年10月29日発売)など外用薬の選択肢も増えています。
また、既存の治療で効果が不十分な中等症から重症のアトピー性皮膚炎の患者さんに対して、生物学的製剤の注射薬(デュピクセントⓇ、ミチーガⓇ、アドトラーザⓇ、イブグリースⓇ)やJAK阻害内服薬(オルミエントⓇ、リンヴォックⓇ、サイバインコⓇ)による全身療法を行うなど新たな治療の選択肢も広がっています。
アトピー性皮膚炎は良くなったり悪くなったりを繰り返しやすい病気ですが、定期的に通院し良い状態を維持することが大切です。

当院での全身療法の導入状況について

現時点ではJAK阻害内服薬による治療が必要な患者さんについては、内服前に詳細な検査が必要なため近隣の大学病院や総合病院にご紹介させていただいています。
生物学的製剤の注射薬(デュピクセントⓇ、ミチーガⓇ)については当院で治療を行っています。
アドトラーザⓇとイブグリースⓇについては当院での治療実績はありませんが、今後導入のご相談は可能です。

医療費助成制度

生物学的製剤治療に当たる医療費は高額になります。
患者さんの経済的な負担を軽減するために、さまざまな医療費助成制度があります。

  • 高額療養費制度:1ヵ月(その月の1日~末日)の間に医療機関の窓口で支払うべき額(自己負担額)が、一定の金額を超えることになった場合、自己負担額を一定額(自己負担上限額)にまでおさえることができる制度です。自己負担上限額は、年齢や世帯の所得により異なります。
  • 付加給付制度(健康保険組合等の独自制度)
  • 学生などへの医療費補助制度(大学等の独自制度)
  • 子どもへの医療費補助制度(自治体により異なる)
  • ひとり親家庭への医療費補助制度(自治体により異なる)
  • 医療費控除:生計を一にする家族が1年間で支払った医療費の総額が10万円(総所得金額が200万円未満の方は総所得金額の5%)を超えると、医療費控除を受けることによって、所得状況に応じた還付金を受け取ることができます。医療費控除を受けるためには、確定申告が必要です。医療機関から発行された領収書は必ず保管しておきましょう。

じんましん(蕁麻疹)

じんましんは全身に蚊に刺されたような盛り上がった赤み(膨疹)が出現し、強いかゆみを伴います。
発疹は数分から数時間で跡形もなく消えてなくなります。
症状が激しい場合には次々と新しい皮疹が出没します。
食物や細菌、ウイルス感染をきっかけに発症するものもありますが、疲労やストレスなど原因を特定できないケースも多いといわれています。

じんましん(蕁麻疹)の種類

蕁麻疹は以下の種類に分類されます。

急性蕁麻疹 発症して6週間以内のもの。
特に小児では一過性の上気道の細菌、ウイルス感染などが原因となることが多い。
慢性蕁麻疹 発症して6週間以上経過したもの。
夕方から夜間に症状が出現しやすい。
原因が特定できないことが多い。
罹病期間は数ヶ月から数年にわたることも多い。
物理性蕁麻疹 機械的擦過や圧迫、寒冷、温熱、日光、振動などといった物理的刺激により起こる。
コリン性蕁麻疹 入浴や運動などで汗をかくと現れる蕁麻疹。
一つ一つの膨疹(皮膚の膨らみ)の大きさが1~4mm程度と小さい。
小児から若い成人に多い。
アレルギー性蕁麻疹 食べ物や薬剤、植物(天然ゴム製品を含む)昆虫などに含まれる特定物質(アレルゲン)に反応して起こるもの。
アレルゲンに結合するIgEという血清蛋白が関与する。
血管性浮腫 唇やまぶたなどが突然腫れあがり、2~3日かけながら消退する。
痒みを伴わない。
稀に遺伝性のものである場合がある。

じんましん(蕁麻疹)の治療

原因が分かっている場合には、その物質との接触を避けます。
抗ヒスタミン薬の内服薬を中心に治療します。
重症例ではステロイド剤の点滴や内服を行うこともあります。

にきび

思春期以降の性ホルモンの影響やストレス、睡眠不足、食生活の乱れ、女性の場合は生理周期などの影響で皮脂量が増えると、毛穴に皮脂や角質がつまり、にきびの元となるコメド(面皰)、いわゆる白ニキビ・黒ニキビがみられるようになります。
そして、コメド(面皰)の中でアクネ菌が増殖すると皮膚の炎症を引き起こし、赤ニキビ・黄ニキビとなります。
つまり、コメドを放置すると炎症を起こしたニキビがどんどん増えていきます。
化膿したにきびをつぶしてしまったり、同じ部位に繰り返し炎症が起こるとニキビ痕が残ってしまうことがあります。
凹凸の痕が残ってしまうと、保険治療内で元の肌に戻すのは非常に難しくなくなってしまいます。
後悔しないためにも、早めのコメド治療、治療は継続的に根気よく行うことが重要と言えます。

にきびの治療

ニキビの治療は基本的に保険治療で行うことができます。
まずは余分な皮脂や汚れを落とすために、毎日朝晩の洗顔料を使用した洗顔、ニキビケアや敏感肌用など個々にあったスキンケアをしっかり行います。
その上で、症状に合わせて長期的に根気よく治療していく計画を立てることが大切です。
治療は少なくとも3か月以上はかかるとイメージしてください!!

にきび治療薬の紹介

コメド(面皰)治療外用薬

毛穴の詰まりを取ったり、お薬によってはアクネ菌を抑える効果を持っているものもあります。
長期的に使用することにより炎症を起こしたにきびを出来にくくするお薬です。

  • アダパレン(ディフェリンⓇゲル)、過酸化ベンゾイル(ベピオⓇローション、ベピオⓇゲル)
  • 過酸化ベンゾイルと抗菌薬(クリンダマイシン)の配合薬 (デュアックⓇ配合ゲル)
  • アダパレンと過酸化ベンゾイルの配合薬(エピデュオⓇゲル)
※いずれのお薬も使い始めに刺激症状(乾燥、皮剥け、赤み、ヒリヒリ感など)が見られることがあるので、塗り方のコツを医師や看護師から説明させていただいています。
抗菌外用薬

アクネ菌を抑え、炎症を起こしたニキビを早く治すお薬です。

  • オゼノキサシン(ゼビアックスⓇローション、油性クリーム)
  • ナジフロキサシン(アクアチムⓇクリーム、ローション)
  • クリンダマイシン(ダラシンⓇTゲル、ローション)

症状によっては、抗菌薬やビタミン剤、漢方薬の内服や面皰圧出などの処置を併用することもあります。

水虫(足白癬)、足爪白癬

水虫は皮膚糸状菌(白癬菌:カビの一種)が足に感染して起こる病気です。
温泉やプールあるいは足白癬患者がいる家庭では床や足拭きマットなどを調べると、ほぼ100%白癬菌が存在します。
実際、入浴後に汚染されたマットを利用すると、白癬菌は確実に足に付着します。
タオルで足を拭くなどの対策やそのまま15分でも素足で過ごすだけでも足に付着した白癬菌は減っていきます。
一方、白癬菌が付着したまま、靴下・靴を履き続け、長時間白癬菌が足についたまま過ごすと、感染の危険性が高まります。
水虫の症状として、足の裏に小さな水ぶくれが生じる小水疱型、足の指の間(趾間)が白くふやける趾間型、足の裏全体が硬く、時に亀裂を伴ってくる角質増殖型があります。
爪白癬は爪が白~黄色に濁り、やがて爪が厚くなります。
そしてその爪の下がボロボロと弱くなってくるのも大きな特徴です。
全国の疫学調査では、5人に1人は足白癬があり、また10人に1人は爪白癬があるという報告があります。

水虫(足白癬)の治療

足白癬は抗真菌薬の塗り薬を1日1回塗布します。
症状がある部分だけでなく、足指の間から足裏全体に1カ月以上毎日塗り続けることが大切です。
塗り薬でかぶれを起こすことがあるので、塗り始めてからかゆみが強くなったり、じゅくじゅくするような事があれば外用を中止して早めに受診する必要があります。
足爪白癬は爪白癬専用の外用薬(クレナフィンⓇ爪外用液、ルコナックⓇ爪外用液)や抗真菌薬内服(ネイリンⓇカプセル、ラミシールⓇ錠など)で治療します。
内服薬の副作用として胃腸障害、肝機能障害などの副作用があるため、内服中は血液検査が必要となります。

帯状疱疹

帯状疱疹は、水ぼうそうと同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」が原因の病気です。
一度水ぼうそうにかかると、治った後もウイルスは症状を出さない状態で体内に潜み続けます。
加齢・ストレス・過労などが原因で免疫力が低下すると、ウイルスが再び元気になってきて発症します。
50代以降に多くみられますが、中には若い方でもかかることがあります。
症状は、ぴりぴりとした痛みやかゆみから始まり、その後、顔や体、四肢の左右どちらかに帯状に赤い発疹や水疱がみられます。
半数以上が体幹に発症しますが、顔面や耳に出現した場合には結膜炎や顔面神経麻痺、耳鳴り等の合併症への注意が必要です。
また、水ぼうそうにかかったことのある人に感染させてしまう心配はありませんが、水ぼうそうにかかったことがない、または予防接種が済んでいない乳幼児への接触は控えましょう。

帯状疱疹の治療

抗ウイルス薬の内服を行います。
重症の場合は入院して点滴で加療をする場合もあります。
重症化させずに短期間で治療を終わらせるために、発症初期に内服を開始することが大切です。
また、体が疲れているサインですので、十分に休養を取り、できるだけ患部を冷やさないようにしましょう。
帯状疱疹による神経痛については、鎮痛薬などの内服治療で慎重に経過観察が必要ですが、痛みが強くて生活に支障が出たり、痛みが長引く場合は麻酔科(ペインクリニック)にご紹介をして神経ブロックなどの特殊な治療を行う場合もあります。

帯状疱疹ワクチン

当院では下記のワクチンを取り扱っています。

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乾燥弱毒生水痘ワクチン
「ビケン」
シングリックスⓇ筋注用
対象 50歳以上 50歳以上の成人、または帯状疱疹を発症するリスクが高いと考えられる18歳以上の成人
ワクチンの種類 弱毒生ワクチン 不活化ワクチン
受けられない方 免疫を抑える治療をしている方
(副腎皮質ステロイド内服や免疫抑制薬内服など)
禁忌はなし
注射の方法 皮下注射(インフルエンザワクチンと同じ) 筋肉注射(新型コロナワクチンと同じ)
発症予防効果 50%~60%程度 50歳以上で97%程度
70歳以上で90%程度
効果の持続期間 5~6年程度 接種後9.1年まで有効性が確認(84%程度)
副反応 注射部位の発赤、疼痛、硬結 局所部位の疼痛、筋肉痛、倦怠感、頭痛、発熱など
回数 1回 2回(初回・2ヶ月後)
費用 8,000円 1回 21,000円(2回必要)

※川崎市、横浜市は現時点では帯状疱疹予防接種の費用助成はありません。
東京都(狛江市、調布市、世田谷区など)は費用助成があります。
助成がある地域にお住まいの方は、お住まいの地域の病院で接種しないと助成金が出ない可能性があるのでご注意ください。

原発性腋窩多汗症・手掌多汗症

原発性腋窩多汗症とは

汗の量が多くなる原因となる病気や障害がないにもかかわらず、多量のわき汗に悩まされる病気です。

原発性腋窩多汗症の診断

シャツに汗染みができるなど、日常生活に支障をきたすほどの多量のわき汗が、明らかな原因がないまま6か月以上みられ、次の6つの症状のうち2つ以上が当てはまる場合に診断されます。

原発性腋窩多汗症の診断基準
(2項目以上で診断)
  • 最初に症状がでたのが25歳以下であること
  • 左右両方で同じように発汗がみられること
  • 睡眠中は発汗が止まっていること
  • 1週間に1回以上多汗の症状がでること
  • 家族にも同じ疾患の患者さんがいること
  • わき汗によって日常生活に支障をきたすこと

原発性腋窩多汗症の治療

保険適用の治療として2012年には注射薬が、2020年以降はゲルタイプやシートタイプの塗り薬が登場し、治療の選択肢が広がりました。

保険適用の外用薬 抗コリン外用薬

脇の下に1日1回塗布することにより、交感神経から伝達される汗を出す信号を局所的にブロックして、過剰な発汗を抑えます。
保険適用の外用薬による脇汗治療を受けた場合、お薬代は3割負担でひと月あたり2,000~3,000円程度になります。
閉塞隅角緑内障や前立腺肥大症で排尿障害がある方には使用できません。

保険適用外の外用薬 塩化アルミニウム液

汗腺(汗管)を物理的に閉じて、発汗を抑えます。
商品情報はこちら ≫

保険適用の注射薬 ボツリヌス毒素製剤

重度の原発性腋窩多汗症に保険適用があります。
ボツリヌス毒素製剤(ボトックス®注)は、ボツリヌス菌がつくるタンパク質から生成された薬であり、交感神経から汗腺への情報伝達を遮断します。
脇の下の皮膚に直接注射することにより発汗量を減少させます。

<治療の概要>
  • 効果は2、3日後から現われ、4~9ヶ月続きます
    (個人差があります)。
  • 片脇に10~15ヶ所の注射をします。
  • 脇の下を冷却後、細い針で注射をします。
    (痛みが不安な方は保険適用外ですが、麻酔のテープをご購入いただく事も可能です。)
  • 施術後、男性は3ヶ月、女性は2 回の月経を経るまで避妊が必要です。
<通院回数>
  • 当院で初めて治療される方は、2回の通院が必要です。
    1回目:診察と同意書ご記入→2回目:施術
  • 2回目以降の方はお電話での予約のご相談が可能です。
  • 予約時間 【平日】14:15~
<費用の目安>

ボトックス® 注‘
(グラクソスミスクライン社の製剤)
保険適用 3割負担で約20,000円/100単位(両脇)

手掌多汗症

手掌多汗症は、手の平にたくさん汗をかくことで日常生活に影響を及ぼす病気です。
文字を書いたりするときに紙がふやけてしまう、握手をするときに気になる、スマートフォンなどの電子機器の画面が濡れる、故障するなど生活に支障を及ぼします。
また、手の皮がふやけて剥けたり、時には湿疹が出来たりすることがあります。
緊張や集中するときに症状が顕著になり、むしろ寝ている時は落ち着きます。
平均発症年齢は13.8歳と言われています。

手掌多汗症の治療

保険適用の外用薬 抗コリン外用薬 
アポハイドローション 20%

寝る前に手の平に1日1回塗布し、朝洗い流します。
交感神経から伝達される汗を出す信号を局所的にブロックして、過剰な発汗を抑えます。
お薬代は3割負担で1本(約1週間分)700円程度になります。
閉塞隅角緑内障や前立腺肥大症で排尿障害がある方には使用できません。

保険適用外の外用薬 塩化アルミニウム液

汗腺(汗管)を物理的に閉じて、発汗を抑えます。
商品情報はこちら ≫

※イオントフォレーシスや手掌のボトックス注射(保険適用外)は当院では行っていません。

その他

当院では下記施術も行っております。
ご希望の方は先ずは診察にてご相談ください。

  • 巻き爪の手術(フェノール法):
    【平日】14:15~
※現在、巻き爪のワイヤー法は行っておりません。

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